登記されている土地や建物の所有者が現在の所有者と一致しないことによって生じる「所有者不明土地問題」「空き家問題」の発生を予防するため土地や建物を相続(遺言、遺産分割協議など)により取得した相続人は、取得した(ことを知った)日から3年以内に登記の申請をしなければなりません。
正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。
どうして相続登記が義務になったの?
「所有者不明土地」があまりにも多いことが分かったからです。
所有者不明土地とは、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない、又は所有者が判明してもその所在が不明で連絡が付かない土地のことです。
国土交通省の調査によると、2016年時点での所有者不明土地は全国で約410万haあると推計されています。これは九州の面積を超える広さに相当します。このままだとさらに拡大する恐れがあり、公共事業や災害発生時の復旧・復興事業が円滑に進まず、民間取引や土地の利活用にも悪影響が発生する恐れがあるので、歯止めをかけるため、相続登記が義務化されました
いつまでに登記しなくてはいけないの?
原則として3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
相続(遺言も含みます)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
相続登記を怠った場合は、ペナルティとして10万円以下の過料を課せられる可能性があります。
ただし、相続人が多すぎて相続人確定に時間を要したり、遺言の有効性が争われるような「正当な理由」がある場合は、期限を過ぎても過料の対象とはなりません。
※遺産分割(相続人間の話合い)で不動産を取得した場合も、遺産分割の日から3年以内に相続登記の申請が必要です。
相続登記義務化(令和6年4月1日)より前の相続は登記しなくてもいいの?
令和6年4月1日より前の相続でも相続登記義務化の対象です。
相続登記義務化のスタートより前の相続でもまだ相続登記がされていない場合については、相続登記義務化の対象になります。令和9年3月31日までの3年間の猶予期間がありますが、早めに対応した方がいいでしょう。
相続登記の申請以外に相続登記の申請義務を免れる方法は?
「相続人である旨の申出」(相続人申告登記)が新設されました。
「相続人である旨の申出」とは、自分が相続人であることを法務局へ申告する、相続人が単独でできる簡易な手続きです(令和6年4月1日施行)。申出に必要な書類等については、法務局の案内に従ってください。
相続登記申請の期限内(3年以内)にこの申出をした方については相続登記の義務を果たしたことになります。
相続登記を自分でするのが難しい場合は?
登記の専門家「司法書士」に依頼することが可能です。
不動産を相続した相続人自らが、申請書を作成し、戸籍謄本や相続人全員の印鑑証明書などの必要書類と一緒に管轄の法務局へ提出して登記手続きをすることも可能です。
しかし、相続登記申請の際の添付書類はケースによって様々です。亡くなったのが数十年前で、何代にもわたって相続登記をしていなかった場合や相続人の一人が海外に居住している場合などは、必要書類を集めることが困難であるため、司法書士に依頼する方がいいと思われます。
遺言を作成して遺産分割の方法を予め決めておくことが可能です。
不動産の名義人が亡くなった後、遺言がない場合は、相続人全員が協議を行い、話し合いがまとまったら遺産分割協議書を作成します。しかし、その分割の内容をめぐって争いになってしまう場合があります。
遺言があると、相続人による遺産分割協議は不要です。故人の遺産は、遺言書の内容にしたがって引き継がれます。
遺言には大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言があります。遺言は書面で作成しますが、その際は法律で定められた要件があり、不備があると無効となる可能性があるため注意が必要です。遺言の作成にあたっては、ぜひ司法書士へご相談ください。
どうして相続登記が義務になったの?
「所有者不明土地」があまりにも多いことが分かったからです。
所有者不明土地とは、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない、又は所有者が判明してもその所在が不明で連絡が付かない土地のことです。
国土交通省の調査によると、2016年時点での所有者不明土地は全国で約410万haあると推計されています。これは九州の面積を超える広さに相当します。このままだとさらに拡大する恐れがあり、公共事業や災害発生時の復旧・復興事業が円滑に進まず、民間取引や土地の利活用にも悪影響が発生する恐れがあるので、歯止めをかけるため、相続登記が義務化されました